睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、眠っている間に呼吸が止まる病気です。
医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。
寝ている間の無呼吸に私たちはなかなか気付くことができないために、検査・治療を受けていない多くの潜在患者がいると推計されています。
この病気が深刻なのは、寝ている間に生じる無呼吸が、起きているときの私たちの活動に様々な影響を及ぼすこと。気付かないうちに日常生活に様々なリスクが生じる可能性があるのです。
いびきや夜の睡眠をきっちりとれていないことから、昼間足りない分を補おうとして眠気が発生したり、起床時の頭痛、熟睡感の欠如、睡眠中に脳が覚醒状態になる(中途覚醒)などがあります。そして、さらにそのまま放置しておくと不整脈、高血圧などの生活習慣病を引き起こすほか、狭心症、心筋梗塞、脳卒中といった重大な合併症につながる恐れがあります。
1時間当たりの無呼吸(咽喉での窒息による呼吸停止)が20回以上に達するような中等症~重症になると寿命が短くなり、特に重症の場合、7~8年後には20~30%の方が死亡すると報告もあります。心筋梗塞の30%、脳卒中の50%、高血圧症の30%、糖尿病の30%に睡眠時無呼吸症候群がみつかり、最近では肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症の「死の四重奏」に睡眠時無呼吸過眠症候群を加え、「死の五重奏」と言われることもあります。
しかし、治療することで「四重奏」を軽減できたり、予防することもできます。患者さんの中には治療をすることで高血圧のお薬を減量できた方もいらっしゃいます。
アレルギー鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿)などの疾患があり、鼻づまりや鼻の諸症状で鼻呼吸がしにくい場合には、まず鼻症状の改善から取り組みます。その他、生活習慣の改善が必要となります。肥満気味の方の場合は首・喉まわりの脂肪が気道を狭くしている可能性がありますので、減量も治療の一環になります。
首・喉まわりの脂肪沈着や扁桃肥大、舌根(舌の付け根)沈下などに原因で気道が閉塞しまう閉塞性の睡眠時無呼吸に有効な治療方法として現在欧米や日本国内で最も普及している治療方法です。
狭くなった気道を外部から強制的に空気を送りこんで、その圧力で気道を広げるというのがCPAPの考え方です。
CPAPの治療機器は保険診療をつかい、レンタルが可能です。
また軽症の治療についてはマウスピースを使用し、下あごを上あごよりも前方に出すように固定させることで上気道を広く保ち、いびきや無呼吸の発生を防ぐ治療方法も行われたりします。
当院では簡易型の検査機器を患者さまにお貸しして、自宅に持ち帰り、普段と同じように寝ている間にできる検査しております。手の指や鼻の下にセンサーをつけ、いびきや呼吸の状態から睡眠時無呼吸症候群の可能性を調べます。自宅でもできる検査なので、普段と変わらず仕事や日常生活をそれほど心配せずに検査することができます。
睡眠時無呼吸による血液中の酸素の濃度低下を調べ、無呼吸の程度を調べたり、気流やいびき音から気道の狭窄や呼吸状態を調べます。